畳の歴史
日本の文化は、中国大陸からの伝承をもとにしたものが多いのですが、畳 (たたみ)は日本民族の生活の知恵が生み出したものであり、湿度が高く、天候の変化が激しい日本の風土で、「敷物」として育てられ、伝承されてきました。
畳の歴史は古く、「皮畳」「きぬ畳」「菅畳」などの言葉が古事記の中に記されています。
現在のように厚みをもったのは平安時代になってからです。
貴族や高官が権力を象徴するために置き畳として用い、畳縁の色と柄によって身分を表したようです。
室町時代になって畳が部屋全体に敷かれるようになり、桃山時代から江戸時代へとうつり、茶道の発展に伴って数寄屋風書院造に変わり日本独特の正座が行われるようになったと言われています。
江戸時代になってから「御畳奉行(おたたみぶぎょう)」という役職が作られるほど、武家、特に将軍や大名にとっては重要なものになりました。
江戸時代後期には畳の職人制が確立され、次第に一般庶民の住まいに普及していきました。
文明開化の明治時代、大正・昭和の厳しい生活環境にあっても、畳は日本人の住生活の中心的役割を演じてきました。
戦後、経済の高度成長とともに生活様式も洋風化し、座る生活から椅子の生活に変わり、じゅうたんが普及し、さらにフローリングが普及してきました。
しかし、フローリングによる不便さも認識されて、くつろげる畳スペースの必要性を見直す動きもあり、フローリングに敷いて使用する「置き畳」など畳新製品が普及しつつあります。
最近では、畳の素材も昔の藺草とワラだけでなく、さまざまな新しい化学素材などが開発されて使われるようになって機能性も高く多様化した消費者ニーズに対応できるようになりました。
畳の効能
- 畳表に使用されているいぐさは、二酸化窒素を吸収し空気を浄化してくれます。
- 敷物として、耐久性・難燃性に優れています。 良い環境だと畳床は、30年~50年くらい使用できます。
- イ草の青々しい香りが気分をリフレッシュさせてくれます。
- 畳は、高い調湿機能をもち、湿度の高い梅雨の時は吸湿し、乾燥している冬には放湿しますので四季を通じて快適に過ごせます。
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畳には、ある程度の弾カ性と柔軟性があります。
例えば、畳の上で転んで頭や身体を打ち付けた場合でも衝撃を吸収する柔軟性があるのです。 -
稲わらの空洞に含まれる空気が、吸音効果を持ちます。
畳の種類や敷く環境にもよりますが、「衝撃音」はかなり改善されることが分かっています。